翻訳者として復帰の経緯 時代はクラウドですな
まだまだ少量ずつですが、家事の合間の空き時間を利用して、翻訳者としての仕事を再開しています。
今メインでお世話になっている翻訳会社さんの特性もあり、時代の変化もありで、育休前とは結構違う環境になっているので、経緯を軽く振り返ってみたいと思います。
きっかけは翻訳者ディレクトリからのメール
育休を終わりにすべく、いくつかの翻訳者登録サイトに登録していましたが、そのうちの「翻訳者ディレクトリ」では、登録して何日かすると早速いくつかの翻訳会社からお誘いのメールが届きました。
半月ほどの間に5社も!
過去に登録していたサイトでは、募集記事を見て自分から翻訳会社に打診するのが基本で、企業の方からお誘いが来ることは珍しかったので、これにはびっくりしました。
ただ、いただいたメールを見てみると、やはり即戦力を求めている感じのところが多く、私が一日にできそうな作業量を大きく超えたものばかりでした。
7年にもなる長い育休明け一発目なので、できれば少しずつ短時間で、家事育児と両立したいと思っています。なので一日の作業量は、多くても専業翻訳者の半分程度かなと考えました。
そこで最初の4社に対しては、期待に応えられそうもないことを伝えて泣く泣くお断りしました。
そんな中、5社目の翻訳会社からのメールが届いたんです。世界各地に拠点を置く大手のローカライゼーション企業です。
そこでは個々の翻訳者はもちろん、チームのリーダーもフリーランスでリモートで働いていて、ツールや研修も無償で提供してくれ、世界中のオフィスからの案件を持っているので定期的に仕事が入るとのことでした。
とても魅力的な条件だったので、ブランクがあることや短時間しか作業できないことをお伝えしつつお返事しました。
すると、短時間でも問題なく、ブランク明けでも慣れるまではしっかりサポートしてくれるという返事だったので、思い切ってこのチャンスに賭けてみようと思いました。
仕事をもらえるまでの道のり
メールでスカウトされはしたものの、即採用というわけにはいきません。実際にお仕事をいただくまでには、結構時間がかかりました。
履歴書などの情報登録、単価設定など
まずは、履歴書などの書類を用意したり、請け負う仕事(私の場合は翻訳と翻訳チェック)とその希望単価を登録します。
日本語の履歴書でも良いが英語のCV(ラテン語のCurriculum Vitaeの略。「人生の行路」の意味)の方が良いとのことだったので、この機会に作ってみることに。
最初は「履歴書を英訳すればいいんだろう」くらいに思っていましたが、色々と調べてみると書き方や内容にかなりの違いがあるんですね。結構苦労しました。
CVは自分のこれまでの経歴を、アピールポイントを明確に完結にまとめる感じでしょうか。あまり謙遜せず、前向きに自己肯定的に書く必要があると感じました。
トライアル
500ワード程度の英文和訳の無償のトライアルがありました。マーケティング文書やユーザーへの説明文など、複数の分野に分けられており、自信がある分野だけ受ければ良いということでした。ただし、受けた分野に基づいて仕事が入ることになるので、多く受けた方が良さそうでした。
納期は特に指定されませんでしたが、あまり遅いと印象が悪いと思い、5日後に3つの分野のトライアルを提出しました。
選考結果は翻訳会社によってすぐだったり、何週間かかかったりと色々ですが、今回の場合は一週間ほどで合格のメールが来ました。しかもスロバキアから英語のメールでした。
トライアルを受けるところまでは基本的に日本語メールでのやり取りでしたが、この合格のメールから後は、様々なやり取りが様々な国にいるメンバーとの英語のメールで行われるようになりました。
トレーニング
晴れてトライアルに合格したので、翻訳で使用する各ツールのトレーニングに移ります。基本的にはもらったドキュメントを読んだり、トレーニング動画(もちろん英語のみ)を見たりするだけなので、空き時間を利用して1~2日で終わりました。
晴れて仕事が始まる
トレーニングが終わると、晴れてお仕事を受けられるようになります。複数あるプロジェクトチームの一つに入れてもらい、現在はそのチームのリーダーから少しずつ仕事を割り振ってもらっています。
世界中のメンバーとコラボってる
実際に仕事が始まってみると、各チームが世界各地に散らばっていても、距離や壁を感じることなく連携できているな、と感じています。
日本語の翻訳チーム内のやり取りを含め、すべての連絡が英語メールで行われるので最初は戸惑いましたが、今はだいぶ慣れてきました。
コロナ禍をきっかけにリモートワークの必要性が高まっている今日この頃、その中でも先に進んでいる環境で働けることが、今は楽しいです。
コロナの影響かも? 長い育児休暇を終えつつある、そのきっかけ
自己紹介のページで、育児休暇からの復帰を目指して活動中と書きましたが、今少しずつ仕事をし始めています。
長引いた一時休業、長いブランク
長男の出産を機に一時休業していた翻訳の仕事は、産後半年ほどで復帰しました。
その後、長男が2歳の頃に長女を妊娠して再度産休として一時休業することになります。0歳と3歳の育児をしながらの復帰はなかなか決断が難しかったので、各翻訳会社さまには「〇月から復帰」のように明確な復帰時期を決めずに休業の連絡をしました。
最初は長男が幼稚園に入園したら復帰!と思っていましたが、幼稚園の行事などで親の出番もわりと多かったのと、初めての2人育児で心身ともに疲れていたので、復帰は先延ばしにしていました。
次は娘が入園したら。その次は息子が入学したら。そんなこんなでなかなか復帰への踏ん切りがつかずにとうとう今年、娘の入学を迎えてしまいました。
娘の出産から約7年間のブランクができてしまったわけです。
※正確には、この休業中に翻訳会社さんから依頼があってお仕事を受けたことが何度かありましたが、年に1度あるかないかのレベルでした。
こうなると、いざもう一度翻訳の仕事を!と思っても、ブランクが長すぎてちゃんと仕事できるのか不安が先だってしまい、さらに踏ん切りがつかないような状況に陥っていました。
きっかけはコロナ?
娘が小学校に入学したことで、少なくとも昼過ぎくらいまでは子供を見ていなくて良い時間ができました。幼稚園のように送り迎えやイベントの参加なども少ないので、自由になる時間が増えました。
さすがに「そろそろ仕事再開したいんだよね~、時間もできてきたしね~」と口では言うようになりました。が、実際の行動に移すことができずにいました。
この頃、新型コロナウィルス感染予防のため、夫の会社でもリモートワークが普通になりました。毎日夫が家にいる状況。これが私を一歩踏み出させるきっかけになった気がします。
子供たちが学校に行った後、洗濯や掃除、買い物をする以外の時間、これまで私はリビングでのんびりしていました。眠かったらウトウトしたり、時にはゲームしてみたり。
夫は仕事用に部屋があるので、基本的にその部屋に閉じこもっていますが、食事や飲み物など、用がある時はリビングにやってきます。
夫がやって来る度、だらだら寝転がっているのを見られたくないと思いました。そして、家の中に仕事して稼いでいる人がいるのに、自分だけゴロゴロしていることをこれまで以上に実感しました。あぁ、私には暇な時間がある。
ゴロゴロしていたらもったいないぞ、これは、と思うようになったんです。
クラウドソーシングサービスを使ってみた
まず最初に私が試してみたのは、今気軽に家で仕事ができると話題のクラウドソーシングサービスです。翻訳の仕事を本格的に始めるのもいいけれど、家事の隙間時間にできるほかの仕事もあるかも知れないと思ったからです。
手始めに、メジャーどころと思われるクラウドワークスとランサーズに登録して、プロフィールを充実させました。もちろん、ここで翻訳の仕事をもらえる可能性もあります。
簡単な作業から専門的な仕事まで、たくさんの仕事の募集があります。基本的にはそこへ応募して採用されたら仕事、という流れです。他にスカウトなんかもあります。
Webライターの仕事をしてみた
本業を翻訳者として登録しましたが、色々な募集記事を見ていて気になったのがWebライターの仕事です。初心者でも始めやすく、興味があることなら楽しく書けていいなぁと思いました。
翻訳の仕事をしてきた私としては、正しい日本語を書く自信もあったし、誰かが書いた文章を訳すだけではなくて、自分で文章を書くというところに心惹かれるものがありました。
ためしにと応募し、実際に仕事をさせてもらったのが海外旅行関係のサイトの記事を書く仕事と、電話占いの占い師さんのプロフィールをまとめて口コミをリライトする仕事でした。
実際にモノを書いてみて、十分に稼ぐには慣れが必要だなと痛感しました。海外旅行の件で言うと、書く記事についてインターネットで色々調べて文章にしていくんですが、コピペになってはいけないし、不確かな情報を書いてはいけないので信頼できるサイトから情報を探すなど、かけようと思えばいくらでも時間がかかるので、もらえる報酬に見合うスピードになるには、修行が必要だと思いました。
でも、作業自体は楽しかったので、機会があればまたやってみたいと思います。
翻訳者として復帰するには
Webライターの仕事は今すぐ稼げる感じではないので長い目で見ることにして、ひとまずは本業での復帰を目指すことにしました。
翻訳サイトへの登録・プロフィール更新
10年以上前から登録していたサイトアメリアではプロフィールを更新し、復帰する旨を追記しました。そして2つほど新しい翻訳者登録サイトに登録してみました。そのうちの1つ、翻訳者ディレクトリ経由で、いくつかの翻訳会社から連絡が来て、そのうちの1つに応募、トライアルに合格し、現在継続中のプロジェクトに入れてもらったところです。
まだ2件ほどの小さな仕事しかしていないのでこの先安定して仕事をもらえるかは、今後の努力次第かな?と思っています。
この経緯については後で詳しく書こうと思っています。
【在宅勤務の派遣社員?!】うつ病と仕事(その③)【フリーランス翻訳者への道】
短期派遣の翻訳チェックのお仕事は、派遣先に気に入ってもらえたのか、期間延長のお話を何回かいただきました。仕事内容も職場環境も気に入っていたので大変ありがたく受けさせてもらいました。
しかし、自宅から電車と地下鉄を乗り継いで一時間強かかる職場だったので、それを何か月も続けることは、なかなかのプレッシャーでした。
約2年の間、仕事をすることもなく家に引きこもっていた私にとっては、毎朝同じ時間に起きて身支度をして電車に乗って…ということだけでもとても大きな生活の変化で、同時にすごくエネルギーが必要なことだったからです。
日中は派遣の仕事、週に一度は仕事終わりに翻訳学校で勉強、という生活がしばらく続いてくると、疲れがたまってきているのが自分でも分かるようになりました。
そのうち目覚めの悪い朝を迎えることが増えてきます。その度に、うつでひどく落ち込んでいた頃の感覚を思い出すのがとても嫌だったのを覚えています。またあの苦しい日々を過ごすことになるなんて、絶対にイヤでした。
そして実際に何度か、大した体調不良でもないのに派遣の仕事をお休みしてしまうことがありました。何を理由にしても過去の病気を言い訳にしているようで、休んだ後は最悪の気分でした。
直属の社員さんが私の欠勤で困っている様子を見た時、このままでは関係が悪化してしまうという危険を感じました。
迷惑をかける可能性はあるけれど、契約期間中はがんばって通い続ける?
関係悪化前に契約終了して、独立後に改めてフリーとしてトライアルを受けさせてもらう?
そこで私はどうしたか?というと、
自分だけでは決断できず、このことを翻訳会社さんに正直に話し、相談したんです。
少し前までうつ病で療養していたこと。仕事は好きだし続けたいこと。でもまた朝に突然出勤できない日があるかも知れないこと。近い将来は独立しようと思っていること。などなど。
すると、翻訳会社の方が意外にもすんなりと理解してくれ、在宅で作業することを許してくれたんです。派遣会社にも話を通してくれて、なぜか私は独立することなく在宅勤務の派遣社員というちょっと変わった?働き方を手に入れたのでした。
翻訳会社で使っていたPCを借りて帰り、自宅での作業時間は派遣会社に報告することで、それまでと同じ時給をもらうことができました。本当にラッキーで本当にありがたかったです。通勤と時間の制約がなくなっただけでもすごく肩の荷が降りました。
こんな働き方で何か月か過ぎた頃、翻訳会社の方から、次の派遣延長はやめて直接業務委託したいという話をいただき、私も独立を強く意識するようになっていたのでお受けしました。派遣会社を挟まなくなったことで、うれしいことに時給もアップしました。
*ちなみに派遣社員の引き抜きは違法ではありません(が、契約期間中の引き抜きは禁止されています)。職業選択の自由があるので、よく考えた上で働き方を選ぶことが大切ですね。
この翻訳チェックの仕事に加えて、その②の記事で書いたアメリアという翻訳者ネットワーク経由で登録した翻訳会社からも少しずつ翻訳者としての仕事をもらえるようになりました。
そしてついに、晴れてこう言えるようになりました。
「私はフリーランスの翻訳者をしています」