すもももももも

無理しない。頑張りすぎない。

【在宅勤務の派遣社員?!】うつ病と仕事(その③)【フリーランス翻訳者への道】

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短期派遣の翻訳チェックのお仕事は、派遣先に気に入ってもらえたのか、期間延長のお話を何回かいただきました。仕事内容も職場環境も気に入っていたので大変ありがたく受けさせてもらいました。

しかし、自宅から電車と地下鉄を乗り継いで一時間強かかる職場だったので、それを何か月も続けることは、なかなかのプレッシャーでした。

約2年の間、仕事をすることもなく家に引きこもっていた私にとっては、毎朝同じ時間に起きて身支度をして電車に乗って…ということだけでもとても大きな生活の変化で、同時にすごくエネルギーが必要なことだったからです。

 

日中は派遣の仕事、週に一度は仕事終わりに翻訳学校で勉強、という生活がしばらく続いてくると、疲れがたまってきているのが自分でも分かるようになりました。

 

そのうち目覚めの悪い朝を迎えることが増えてきます。その度に、うつでひどく落ち込んでいた頃の感覚を思い出すのがとても嫌だったのを覚えています。またあの苦しい日々を過ごすことになるなんて、絶対にイヤでした。

そして実際に何度か、大した体調不良でもないのに派遣の仕事をお休みしてしまうことがありました。何を理由にしても過去の病気を言い訳にしているようで、休んだ後は最悪の気分でした。

 

直属の社員さんが私の欠勤で困っている様子を見た時、このままでは関係が悪化してしまうという危険を感じました。

迷惑をかける可能性はあるけれど、契約期間中はがんばって通い続ける?

関係悪化前に契約終了して、独立後に改めてフリーとしてトライアルを受けさせてもらう?

 

そこで私はどうしたか?というと、

自分だけでは決断できず、このことを翻訳会社さんに正直に話し、相談したんです。

少し前までうつ病で療養していたこと。仕事は好きだし続けたいこと。でもまた朝に突然出勤できない日があるかも知れないこと。近い将来は独立しようと思っていること。などなど。

 

すると、翻訳会社の方が意外にもすんなりと理解してくれ、在宅で作業することを許してくれたんです。派遣会社にも話を通してくれて、なぜか私は独立することなく在宅勤務の派遣社員というちょっと変わった?働き方を手に入れたのでした。

 

翻訳会社で使っていたPCを借りて帰り、自宅での作業時間は派遣会社に報告することで、それまでと同じ時給をもらうことができました。本当にラッキーで本当にありがたかったです。通勤と時間の制約がなくなっただけでもすごく肩の荷が降りました。

 

こんな働き方で何か月か過ぎた頃、翻訳会社の方から、次の派遣延長はやめて直接業務委託したいという話をいただき、私も独立を強く意識するようになっていたのでお受けしました。派遣会社を挟まなくなったことで、うれしいことに時給もアップしました。

*ちなみに派遣社員の引き抜きは違法ではありません(が、契約期間中の引き抜きは禁止されています)。職業選択の自由があるので、よく考えた上で働き方を選ぶことが大切ですね。

 

この翻訳チェックの仕事に加えて、その②の記事で書いたアメリアという翻訳者ネットワーク経由で登録した翻訳会社からも少しずつ翻訳者としての仕事をもらえるようになりました。

そしてついに、晴れてこう言えるようになりました。

 

「私はフリーランスの翻訳者をしています」

 

空気は読むもの?うつ病のとき『薔薇のない花屋』を見て、心が軽くなった話

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『空気』


読めとか、読めない奴はダメだとか言われる空気

日本で暮らしていると、空気を読むことの重要さを感じることがたくさんある。

誰かに話しかけるタイミングをはかったり、他の皆の意見を予測してから自分の意見を考えたり。

そうしないと、周りから変な奴と思われたり、場合によっては嫌われたりすることもある。

 

だから、その場の空気に合った行動をするために、私たちはほぼ無意識的に、毎日一生懸命空気を読んでいる。


さて、うつの病状がまあまあ落ち着いていたころの話。


当時、竹内結子さんと香取慎吾さんが主演のTVドラマ「薔薇のない花屋」が放送中でした。

その中のワンシーン。

美桜(竹内結子とその父(尾藤イサオがこんな感じのやりとりをする。

 

・・・

~ 父が入院中の病院の屋上で ~

美桜は父がタバコを吸おうとしているのを見つけて、取り上げる。

 

父:「一本くらいいいじゃないか。いつからそんなに融通の利かない、かわいくない女になったんだ?」

 父:「…小さい時のお前は、本当にわがままで大変だったんだ」


美桜:「ウソよ。 覚えてないと思って、(話を)作らないで」


~ 中略 ~


父:「だけど、無邪気で可愛かった。よく笑って、よく怒って泣いて、わがままだけど、本当に可愛らしかった」

 

美桜:「もしそうだとしても、大人になれば仕方がないわ。バカじゃないんだから。周りの空気読んで」

 

私の心の声(そうそう。大人になったら空気読まないわけにはいかないもん。いつだって、周りを見ながら適切な行動することが求められるんだから)

 

でも、ここで父親は笑ってこう答える。

父:
「ときどき息苦しくなるだろ、読んでばかりなんて。
  空気なんてほら、吸うもんだ!

 

うつの症状は軽くなってきても、なかなか外に出て人と会ったりすることに抵抗というか重荷感があった時期。

この言葉を聞いてなんだか、ちょっと肩の力が抜けたというか、心の重石がとれるような気がした。


たまには読むのをやめて、思い切り深呼吸しよう。

 

【在宅フリーランス翻訳者になるには】うつ病と仕事(その②)【私の働き方改革】

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うつ病を克服したとはいえ、再発のリスクにおびえながらの仕事探し。朝に起きられないとき、出勤時間が迫る怖さを忘れられなかったので、在宅でフリーランスの仕事を目指すのが一番現実的だと考えました。

ここでは、自分の経歴から現実的と思われた翻訳者になるために実際に私が辿ったステップについてお話しします。

翻訳者とは

外国語を活かせる仕事として、真っ先に思い浮かぶのが翻訳者や通訳者といった仕事ではないでしょうか。異なる言語間での意思疎通のため、なくてはならない仕事です。

翻訳者は通訳者と違い、外国語を口で話すことはほぼありません。特殊な分野を除き、基本的にパソコンを使用しての作業になると思います。

翻訳の仕事には、大きく分けて「文芸翻訳」「映像翻訳」「実務翻訳」の3つがあります。

文芸(出版)翻訳はその名の通り小説などの書籍を翻訳する仕事です。映像翻訳は、映画、テレビ番組、DVDなどの映像の中の音声を翻訳(字幕や吹き替え)する仕事です。翻訳の仕事と聞くと、これら2つの種類の仕事を想像しがちですが、実際世の中の翻訳の仕事の9割を占めると言われているのが、3つ目の実務(産業)翻訳です。実務翻訳では、各産業分野で企業などが必要とするあらゆるものが翻訳対象になります。

これから翻訳者になろうとする場合、仕事量も多く分野が多岐にわたる実務翻訳の世界が一番入りやすいでしょう。私はIT業界での社会人経験を活かせると思ったので、IT分野メインの実務翻訳者を目指すことにしました。

 

実務翻訳者になるには

実務翻訳者を目指すということは決まりました。翻訳者になるためにはどうすればいいのでしょうか。

 

実務翻訳者に必要なもの

・英語力

実務翻訳者になる勉強をするにあたって、最低限必要な英語力は高校卒業程度でしょうか。文法や構文の読解に問題がなければ、専門的な用語や言い回しは調べながら学んでいくことができるので大丈夫です。

・得意分野

実務翻訳の対象分野は大変広く、ビジネス一般、特許、医薬、IT・通信、金融などさまざまです。知識や経験の特に深い分野を持っていれば、その業界に適した表現の訳を作ることができ、顧客からの評価も高くなるでしょう。

ビジネス文書などの専門性が低い分野に比べて、特許やメディカル、金融など、専門性が高い分野の翻訳は初心者にはハードルが高いため、このような分野を得意分野にできれば、より安定して仕事を得られる可能性が高いと思います。

 

初心者から翻訳者への道【私の場合】

実務翻訳者の働き方としては、①企業内の社内翻訳者として働く、②翻訳会社で社員/契約社員/派遣社員として働く、③フリーランスの翻訳者として翻訳会社から仕事をもらう、という選択肢があります。

社内翻訳者や翻訳会社での仕事に就くには、通常の採用プロセスを通ります。翻訳初心者でも募集しているところがあり、働きながら勉強できるので、将来フリーランスを目指している人も最初はこのような仕事から始めることが多いです。

フリーランス翻訳者になるには、翻訳者を募集している翻訳会社に応募して、トライアル(テスト)を受けて登録翻訳者になるのが一般的です。登録翻訳者になればすぐにたくさん仕事をもらえるわけではないので、複数の翻訳会社に登録している翻訳者さんが多いです。

私の最終的な目標は③のフリーランスでしたが、経験も実績も何もないままではいかんと思い、まず翻訳学校で翻訳の勉強をしつつ、短期派遣で翻訳関係の仕事を探すことにしました。

 

翻訳学校

私が通ったのはサンフレアアカデミーという翻訳学校です。翻訳学校はいくつかありますが、コンピュータ分野の講座があったこと、通いやすい場所だったこと、母体が翻訳会社なので、卒業時のテスト結果によってはそのまま登録翻訳者になれる可能性があったことで、ここに決めました。(その後、テストではあと一歩及ばず登録はしてもらえませんでした。涙。)

翻訳学校では、英語そのものを勉強するのではなく、講座の専門分野(私の場合はコンピュータ分野)の翻訳の基本ルールやツールの使いかたなど、より実践に必要なことを学びました。講師の先生もとても熱心で、3~4人の少人数だったのもあり、大学のゼミのように皆で意見を出し合って話し合ったりして、濃い勉強時間を過ごすことができました。 

 

翻訳会社での仕事

翻訳学校で勉強を始めて間もなく、ラッキーなことに短期派遣の翻訳チェックの仕事を見つけ、採用してもらえました。翻訳者さんが訳したものをチェックし、修正する仕事です。現役翻訳者さんの訳に触れられたこと、その訳が修正されて納品物になっていくところを見られたこと、これは何よりも良い経験になりました。翻訳支援ソフトの使い方もここである程度覚えることができました。

翻訳会社でのチェックの仕事は当初数週間の予定でしたが、真面目に働いたのが良かったのか会社が忙しかったのか、翻訳会社から何度も延長していただきました。

 

そして翻訳者に

翻訳チェックの仕事にも慣れて自信がついてきた頃、本格的に翻訳者になることを考えるようになりました。うつ病の再発ではありませんが、疲れた時にふと気持ちが弱くなってしまい、また出勤できなくなるのでは、と不安になることが何度かあったからです。

独立に向けてまずは翻訳者として少しでも仕事をもらえるようになる必要がありました。そこで翻訳会社の他の人に聞いたりして、おすすめと言われたのが「アメリア」という会員制の翻訳者ネットワークです。

フェローアカデミーという翻訳学校が運営していて、たくさんの翻訳会社からの募集記事が掲載されています。会費がちょっと高いですが、会員になると毎月会員誌が届き、勉強会のような内容や、翻訳会社へのインタビュー記事もあり、学習者にも現役翻訳者にも役立つ内容になっているので、損をしていると感じるほどではないと思います。

初心者だった私ですが、アメリアでいくつかの翻訳会社のトライアルを受けて最初の合格を手に入れ、そのうち1社からは割と早くに仕事をもらえるようになりました。

まだまだ翻訳者一本では十分な収入を得られませんが、独立への足掛かりはできたというところです。

 

長くなってしまったので、独立、その後については次の記事でお話しようと思います。

つづく…

 

okmishmish.hatenablog.com